「見えない資産」経営と未来歴史づくり 「見えない資産」経営と未来歴史づくり
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企業文化のメンテナンスで
強固な「未来歴史」を創る

岡部 では、企業文化のメンテナンスということについてはいかがでしょうか。なぜ、企業文化のメンテナンスに目を向けて実践する必要があったのですか?
米内 「未来塾」や自主勉強会がきっかけで、「自分たちの文化はこのままでいいのかな」と思い始めたのです。変えていいものと変えてはいけないものがある。そんななかで、変えていいものは変えていきたい。「私の時代で少し爪痕を残していきたいな」と思ったんです。
岡部 「見えない資産」経営の“本丸”で、強い文化を創っていくというものがありますが、御社はミッションステートメントから変更されましたよね。まだ会長がいるのに、そこに手を入れていくのは、結構大変なことだと思いますが……。
米内 そこは大事なところで、「ここのところは変えたいんです」と会長を説得しました。太田会長は、頑固そうに見えて、物わかりはいいんです。
岡部 御社にはもともと「未来歴史」という考え方がありますよね。それは、現在を未来の視点から捉え、「未来において評価できる現在」をつくれるように行動することが大切だという意味の言葉だとうかがっています。つまり、「未来歴史づくり」を念頭に置いて、「今まであったものでよいものは残そう、変えていくべきものは変えていこう」ということで取り組まれたということですよね。
米内 そのために、バリュークリエイトさんに新しいタグラインもつくっていただきました。
岡部 はい。タグラインをつくるにあたっては、たくさんメモをいただいて、それをヒントにさせてもらいました。この作業自体は、米内さんにとってどういう価値があったのですか?
米内 5年先、10年先変えていくための大事な作業でしたね。
岡部 いろいろお話しさせていただきながら、「挑み続ける、その先に」という言葉が生まれたんですよね。
米内 デザインチームの皆さんも、いろいろと勉強してくださった。そんなタマチ工業のことをよく知っている方々と仕事をするのは、自分にとってはやりがいもあるし、何より自分がラクでしたね。それに、バリュークリエイト(=価値創造)は、我々が掲げる「未来歴史づくり」と同じ意味合いをもっていると感じました。
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岡部 僕たちも、楽しみながらやらせていただきました。今、御社にいる人たちでつくっていったタグラインは、大事だと思います。こういう作業をやっていくなかで、社内で変化などはありましたか?
米内 ロゴマークも、すごくかっこよくなったとは言われますね。「全社員がこういう気持ちで働けばいいんだということがここに書かれているので、分かりやすくなりました」という意見は、社員からもよく聞きます。もちろん、今までのマークがよかったなど、ネガティブな声も聞きますけれど……。
岡部 でも、米内さんはそれを英断された。そうそう、思い出しました。当時、なぜ今のままではダメなのかという話になったときに、「どんなクライアントさんと将来仕事をしたいですか」という話になって、A社さんやB社さん、車だったらC社などという名前が挙がりました。そのときに、今のままでいいのかという議論をさせていただいて、「やっぱりD社やE社とつき合うにはこのままではダメなんじゃないの」という話になったんですよね。
米内 おかげさまで夢は壮大になりました(笑)。
岡部 僕が嬉しかったのは、「未来塾」からスタートして、三冨の考える「見えない資産経営」を実践していただき、その延長線上でちゃんとアウトプットもしていただけた。僕らのなかで、これはベストプラクティスです。
三冨 素晴らしいよね。
岡部 しかも、米内さんだけじゃなくて営業企画の皆さまや新卒で入ってきたデザイナーさんも加わって、最終的に決めていかれたというのは、すごくよかったんじゃないかと思います。
米内 主役は従業員です。僕はサポーターであり、マネージャーであり、スポンサーといったところかな。ホームページでつくって、日々、ニュースを更新しているんですけれど、そのなかで社員も取り上げているんです。そんなある日、ニュース覧で取り上げたエンジニアが新聞記事になりました。そうしたら、問い合わせがすごいんですよ。しかも、宛先は私ではなくてそのエンジニア。つまり、彼が主役になっているんですね。私は、それをオーソライズしてあげる。ときには、お金を出してあげる。私は、そういう立ち位置でありたいと思っています。
岡部 お客さんからの反応はありますか。
米内 とくにロイヤルカスタマーは、タマチ工業が進化しているかどうかを見ますが、タグラインは新鮮に写ったようですよ。あとは、以前のホームページと比べると、問い合わせの数や質が変わってきました。見た方たちからは、「開くと、今、起きていることがすぐに分かる」と言われます。手応えは感じますね。

本記事は2019年12月に行った鼎談をまとめたものです

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